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エジプト / 世界遺産「ワディ・ヒターン」視察レポート

掲載日時:2016年05月13日

情報提供:エジプト日本旅行業連盟 (JTUE)

2016年4月07日(木)、エジプトにおいて日本人マーケットに携わる旅行関連業者からなる「エジプト日本旅行業連盟」(JTUE: Japanese Travel Union of Egypt)のメンバー4社合同で、ワディ・ヒターンとワディ・ライヤーンを視察いたしました。
その様子をご報告いたします。
皆様に現地の状況を理解していただくための助けになれば幸いです。



ワディ・ヒターンはカイロの隣、ファイユーム県のワディ・ライヤーン自然保護区の中にあり、1997年に世界遺産(自然遺産)に指定されました。今年2016年初めに新しい博物館が完成したものの、エジプト人を含む一般人はこのエリアへの立ち入りを禁止されておりましたが、この3月15日から観光が可能となりました。

ギザ・ピラミッド近くが起点となるファイユーム道を約1時間走ると、グレコ・ローマン時代のカラニス遺跡、ファイユーム博物館(コム・オーシム博物館)が見え、カルーン湖とファイユーム中心部へとの分岐点があります。右手、カルーン湖方面に折れて湖の南岸に沿った道路を走りますが、この辺りはバードウォッチングが盛んな場所です。
分岐からワディ・ライヤーン自然保護区の入口までは約1時間。カイロからの移動時間の合計は約2時間です。
保護区入口で入場券を購入。現在、外国人の入場料は40エジプト・ポンドでした。

ワディ・ライヤーン自然保護区までの道は舗装されておりますが、ここからワディ・ヒターンまでは未舗装道を36kmほど走ります。バスや乗用車でも行けないことはありませんが、かなり低速での走行になりますし、パンク等のリスクを考えると4WDの利用が望ましいと思われます。
今回は、
 カイロ
 ↓ カルーン湖パノラマ・ポイント
 ↓ ワディ・ヒターンの博物館
 ↓ 化石を観察しながらのハイキング
 ↓ ワディ・ライヤーンの写真スポット「アル・ムダワラ」
 ↓ ワディ・ライヤーンの第2湖と滝
 カイロ
の順で視察いたしました。

ワディ・ヒターンは大型バスでやってきたエジプト人グループを始め、欧米人などかなり多くの観光客で賑わっておりました。ワディ・ライヤーンの湖と滝では、さらに多くのエジプト人たちが水遊びを楽しんでおりました。

◎ 写真1 --- カルーン湖近くの村
この村では、木曜に村の外れにて朝市が行われます。
ファイユーム県はカイロの南西にあり、カイロからファイユーム中心部までは約130km離れています。
ファイユーム県の人口は2014年の統計で約307万人。農業や養鶏などが盛んです。

◎ 写真2 --- カルーン湖(ニュー・パノラマ・ホテルから)
カルーン湖は東西40km、南北5.7km、表面積254平方km(琵琶湖の1/3程度)の湖です。
古代エジプトの頃は淡水の湖でしたが、徐々に塩水化が進み、現在では塩分濃度がほぼ海水と同じ34.5%まで高まっています。そのため、湖では舌平目やエビなど、海から移入された魚介類が生息しています。
この辺りの土地は海抜より低く、カルーン湖の水面は標高マイナス45mです。
ホテルではトイレを借りたり、遅めになりますが観光後にランチを取ることも可能。

◎ 写真3 --- カルーン湖のパノラマ・ポイント
少し見づらいですが、ここからは天気が良ければ、湖と対岸の砂漠の岩山を一望することができます。
手前はオリーブ畑。近くにはカスル・カルーンと呼ばれるグレコ・ローマン時代の遺跡もあります。

◎ 写真4 --- オフロードを走行後に到着する、ワディ・ヒターン駐車場とカフェなどの施設。
カフェを借りて、お弁当などを食べることも可能です。
比較的きれいな水洗トイレも設置されているので安心です。レンジャーも常駐しています。

ここから先の車両の乗り入れは禁止されています。時間と体力に合わせて、化石や美しい砂漠の風景を眺めながらのハイキングとなります。今回は約2時間のルートで視察いたしました。

◎ 写真5 --- 化石と気候変動の博物館
上記施設の手前側にあたる場所にあるのが「化石と気候変動の博物館」(Fossils & Climate Change Museum)。2016年1月にオープンした新しい博物館です。
ワディ・ヒターンは、エジプトに7ヵ所ある世界遺産のうち唯一の自然遺産で、エリア内の施設は全て景観に配慮したデザインとエコフレンドリーな材料を使用して建造されています。

◎ 写真6 --- バシロサウルス・イシスの全身骨格
巨大なバシロサウルス・イシスの全身骨格が博物館の中央に展示されています。

◎ 写真7 --- バシロサウルス・イシスの後肢
体長が18〜25mと巨大なのに対し、後肢は退化して約60cm程度と非常に小さいのが特徴的です。
約6500万年前に水辺に棲んでいた四肢動物が水中生活に適応し、現生のクジラへと進化して行くなかで、後肢は徐々に消えて行きました。その進化途中の姿を知ることができるのが、ワディ・ヒターンのクジラたちです。

◎ 写真8 --- 2種類の原始クジラの復元図
ワディ・ヒターンで多数発見される2種類の原始クジラの復元図です。 
 下: バシロサウルス
 上: ドルドン

博物館内ではクジラの進化を説明するパネルやこの一帯で発見される様々な化石を展示し、当時の気候、環境などをわかりやすく解説しています。

◎ 写真9 --- ドルドン・アトロックス
全長4.5〜7m。バシロサウルスと同時代の原始クジラです。この化石ではわかりませんが、ドルドンにも後肢があります。

◎ 写真10 --- バシロサウルス・イシス
博物館内のものほど保存状態はよくありませんが、大自然のなかに化石が発見された時の状態で見学できる場所はめったにありません。

◎ 写真11 --- マングローブの根の生痕化石
このマングローブの根の生痕化石から、当時のワディ・ヒターンが暖かな熱帯の海であったことや海岸線の位置などを知ることができます。
これ以外に、もジュゴンの仲間、ノコギリザメ、ウミガメ、珪化木、貝類など様々な化石が見られます。

◎ 写真12 --- ワディ・ヒターンのパノラマ・ポイントからの眺め
4000万年前にはクジラの泳ぐ青い海と豊かな大森林が広がっていました。

◎ 写真13 --- アル・ムダワラ
ワディ・ライヤーン第2の湖のほとりにあるビュー・スポットです。
丘の上に登ると砂漠と湖を一望することができます。

◎ 写真14 --- ワディ・ライヤーンの滝
エジプト唯一の滝です。カイロからほど近く、水遊びのできる場所としてカルーン湖やワディ・ライヤーンの湖周辺は、エジプト人の人気観光地です。
この日もたくさんの人が水に入ったり、滝に飛び込んだりしていました。

写真1: カルーン湖近くの村写真1: カルーン湖近くの村

写真2: カルーン湖(ニュー・パノラマ・ホテルから)写真2: カルーン湖(ニュー・パノラマ・ホテルから)

写真3: カルーン湖のパノラマ・ポイント写真3: カルーン湖のパノラマ・ポイント

写真4: オフロードを走行後に到着する、ワディ・ヒターン駐車場とカフェなどの施設写真4: オフロードを走行後に到着する、ワディ・ヒターン駐車場とカフェなどの施設

写真5: 化石と気候変動の博物館写真5: 化石と気候変動の博物館

写真6: バシロサウルス・イシスの全身骨格写真6: バシロサウルス・イシスの全身骨格

写真7: バシロサウルス・イシスの後肢写真7: バシロサウルス・イシスの後肢

写真8: 2種類の原始クジラの復元図写真8: 2種類の原始クジラの復元図

写真9: ドルドン・アトロックス写真9: ドルドン・アトロックス

写真10: バシロサウルス・イシス写真10: バシロサウルス・イシス

写真11: マングローブの根の生痕化石写真11: マングローブの根の生痕化石

写真12: ワディ・ヒターンのパノラマ・ポイントからの眺め写真12: ワディ・ヒターンのパノラマ・ポイントからの眺め

写真13: アル・ムダワラ写真13: アル・ムダワラ

写真14: ワディ・ライヤーンの滝写真14: ワディ・ライヤーンの滝

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