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香港 [ Hong Kong Special Administrative Region ]

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国別トラブル事例集

香港 あんなこと・こんなこと (一般的注意事項、トラブル事例と対策あれこれ)

掲載日時:2001年10月12日

情報提供:JNTO香港事務所

香港もれっきとした外国。日本とは文化・風習・生活感覚が違えば制度も異なる。そのような当然なことを、時には忘れてしまって無駄な時間やお金を使わなければならなくなったりすることもある。
事と次第では警察の厄介になったり、中には裁判で実刑を受ける事もある。

そこで、邦人安全対策協議会と在香港日本国総領事館では、邦人が関係したトラブルの実例を挙げてアドバイスのパンフレットを作成している。以下、そのパンフレットからの要約である。


〔一般的注意事項〕

◆酒は飲んでも飲まれるな
「酔った上でのことだから」と大目に見てもらえるのは日本だけの事と心得るべし。年末年始はとくに日本人の酒絡みのトラブルが多くなる。深夜酔って路上で寝込んでしまった邦人男性が、起こそうとした婦人警官を殴ってしまい、暴行の罪で起訴されたこともある。最近、機中で乗務員に暴力を振るったり、隣席の人に酒をかけてしまい、1万ドル以上の罰金刑を受けた例がある。


◆茶髪。長髪などのおしゃれは程々に
チャパツ・ロンゲは香港ではまだ認知されているとは言えない。少なくとも、男性のそれは異様な目でもって見られるということを自覚しておく方がよい。
以前、地下鉄の車内で女性から胸を触られたと訴えられ、禁固30日の有罪判決を受けた男性がいるが、当人がチャパツ・ロンゲだったため、その容姿が裁判官の心証を悪くしたと言われている。


◆混雑、転ばぬ先の杖
香港は狭い土地に多くの人が住んでおり、人口密度が高い。とくに地下鉄駅構内や駅などではまさに人込みをかき分けて歩く状態。この人込みゆえに「加害者」にされてしまう事がある。香港の女性は自己主張が強いとよく言われるが、当地の男性諸氏は、込み合ったバスや地下鉄構内などでは女性に接触しないように十分な注意を払っている。日本では少々ぶつかったくらいではなんともないケースが多いかもしれないが、香港では全くの過失でも対応如何では痴漢行為ととられる可能性がある。

当地では痴漢と訴えられた場合、捜査や裁判の段階で被害者の訴えが極めて重要視される。日本と同じく「推定無罪」の原則はあるものの、現実的には捜査段階から有罪を前提に取り調べが展開されることが多く、無罪を勝ち取ることは極めて困難。最近では禁固15日や3O日という判決もあった。

込み合った所では、女性に触れないようなポジションをとるように。
不審な身動きをして痴漢と間違えられることのないように。
もし触れてしまったら「Sorry」と謝ること。故意に触れたのではないことをはっきり主張しておくことが必要。



〔トラブル事例と対策あれこれ〕

◆交通事故
交通事故が発生し、負傷者もなくお互いに大した傷でもなかったので示談とした。先方も謝って損傷箇所の修理を相手にー任した。後日、自車の定期検査があった際、壊れていない部品まで安物に変えられていたことが判明した。その時点では先方に連絡がとれなくなっていた。

※交通事故が起きたら被害の軽重に関係なく警察を呼び、きちんと処理すること。後々思わぬ災難に襲われる恐れあり。


◆酔っ払い
レストランで酔ってしまい、隣席の香港人らしきカップルをからかった。その後、店の外でカップルの友人達に囲むまれて謝罪させられた。

※「店の従業員を怒鳴る」、「酔った勢いで威張る」というのは卑劣な行為。自戒しよう。からかったりすることは、場合によっては過去の歴史を思い出させることにつながり、予想外のトラブルに発展することにもなる。


◆達人
自称「香港の達人」の彼は下町の屋台や大衆食堂の常連だったが、ある日食べ物が原因と思われる病気で死亡した。

※衛生管理の行き届かない店での飲食は危険を伴う。好奇心や雑誌の記事に惑わされず、きちんとした店で飲食すべし。また、いわゆるゲテモノ料理や火の十分通っていない魚介類は敬遠するにしくはない。


◆タクシー
買い物帰りに自宅までタクシーに乗ったところ、いつもと違う道順に。とっさに携帯電話で友人に「運転手氏名」・「車両ナンバー」・「現在位置」を知らせたところ、3倍の料金をとられたが無事自宅にたどり着いた。

※タクシーにまつわるトラブルは多い。遠回りするなどの場合には牽制効果を狙って、携帯電話をかけるのは効果的かも。不審に感じたら下車できる所で下車する。また、高額な料金をふっかけられたら、「運転士名」や「車両ナンバー」をメモすると共に、領収書をもらい警察へ。
なお、タクシー内に忘れ物も多い。とくに酒に酔って深夜に乗る場合は、持ち物を置き忘れないよう十分にご注意を。


◆落とし物
落とし物をしたら拾った人から「直接返したい」との連絡があった。

※このような場合は場所や時間は自分が決めること。相手のいいなりになってしまうと危ない場合も。謝礼は内容物によっても異なるが、100〜1,000香港ドルが相場と言うところか。


◆カード
買い物のとき初めての店でカードを使った。後日、覚えのない引き落としがあった。

※カードでの買い物は大手百貨店や邦人利用客の多い店など信用のおける所で。カードを持ったまま奥に引っ込むような店は危ないので買い物はキャンセルすべし。伝票のコピーは必ず保管する。


◆言語
覚えたての広東語を何気なく話したところ叱責された。

※知らずにスラングを話したようだ。いわゆるスラングを、そうと知らずに覚え話してしまうと、「侮辱」と受け取られてしまうことも。きちんと理解した後、言うことが肝要。また、禁句は「バカヤロー」。「野郎」という言葉は、香港人・中国人には日本人が中国人を罵倒するときに戦時中に多用した言葉と認識されており、われわれが想像する以上に侮辱的に受け止められる。


◆偽警官
観光地で写真を撮っていると、二人の現地人男性が近付き、身分証明書らしいものを提示しながら「偽札の捜査をしているので持っている日本円を見せてほしい」と言われた。

※私服の場合、警察官と名乗ったからといって信用しない。警察IDを見せてもらう。警察官は通常の香港IDではなく警察官用のIDを持っている。あやしい場合には、「警察署で
話を聞きたい」と申し出ること。


◆イカサマ博打
街を歩いていると東南アジア系の若者から「日本人か」と声をかけられた。「友達になろう」、「日本にいる友人に手紙を書きたいので教えてくれ」などと親しげである。そのうち、「叔父さんがホテルに待っているから一緒に遊ばないか」とのこと。ついて行くと部屋には叔父さんらしき人物がいて、「じつはブルネイ人の金持ちがきてカードをすることになっている。どうせカモにするんだ。一人足りないから手伝ってくれ。絶対損はさせないから」とインチキ賭博に誘われる。はじめはブルネイ人が負けるが、そのうち当方の負けがこんでくると、賭け金が一挙に上げられる。「そんな大金は持っていないから」と言っても相手にしてもらえない。
さて、勝負には当然負けてしまう。さあ、賭け金を支払わねばならない。となると、「有り金全部だせ」、「カードがあるならキャッシングしてもらおう」、「カードで貴金属を買って質入れして金をつくれ」などと畳みかけられ、最終的にはほぼ一文無しになってしまう。

※香港でも賭博は原則禁止。そもそも賭博はほとんどの国で違法行為であることは旅の常識。
旅先での触れ合いは旅行の楽しみではあるが、親しげな態度は罠の第一段階と心得るべし。
睡眠薬強盗なども親しくなるところから始まる。ある程度の距離をおいた親しさを心掛けるべし。これらのトラブルは、バックパッカー向けの安宿が舞台となることがほとんどで、宿主も一枚噛んでいると考えられる。いったん誘いに乗ったら最後、途中でそこから逃れることはまず出来ないと認識すべし。犯人の逮捕や、負けを取り戻すのは不可能というのが現実である。


◆便利メモ
*在香港総領事館: 252-1184
*警察・消防・救急: 999



※本記事は「国際観光振興会 海外旅行情報」より転載致しました。