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イラン [ Islamic Republic of Iran ]

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イラン / イランのお正月「ノウルーズ」

掲載日時:2010年03月19日

情報提供:イラン・イスラム共和国大使館

「ノウルーズ」(ペルシア語で新しい日)はイラン暦の元日・お正月で、イラン、アゼルバイジャン、アフガニスタン、タジキスタン、カザフスタン、キルギスタン、ウズベキスタン、トルメキスタン、イラク北部、トルコの一部、アルバニア、グルジア、中国西部、ロシア中部・南部の一部、またその他の土地などでお祝いされる祝日です。
「ノウルーズ」は春の始まりを意味し、それと同時にイランの新年としてペルシア人によって今に至るまで祝われてきた、始まり・誕生・創造を祝うお祭りです。ノウルーズはゾロアスターの到来からずっとイラン人によって大切なお祭りとして守られてきました。イスラームはこのお祭りを大切なものとみなしています。

このお祭りは北半球の天文上の春分の日、3月21日もしくは前後日(観察する場所による)にお祝いされます。
イラン暦では、この春分の日が一年の始まりとなります。春分の頃、太陽は赤道の真上に観察され、北極と南極がちょうど明暗境界線の上に横たわります。そして太陽の光がちょうど北半球と南半球に均等に行きわたります。

■ 歴史と習慣
ノウルーズの始まりは、何千年も前にさかのぼります。
神話のペルシア王ジャムシードは、インド・イラン人の牧畜生活からの移行、人類のより定着した生活を象徴しています。
この日はアケメネス朝の頃においても重要な日とされていました。それは、ペルシア皇帝下にあるそれぞれの国の王達が、ペルセポリスのペルシア王の王に贈り物を持ってくる期間でした。
今日においても、ノウルーズのお祝いは守られ、沢山の国々で祝われています。
イランでは、ノウルーズの準備はエスファンド(2月20日から3月20日まで)から始まります。この時期は、ペルシアの太陽暦の冬の最後の期間となります。

一般の人々はノウルーズを春の一斉掃除から始めます。また新年のために新しい衣服を買ったり、お花(特にヒヤシンス、チューリップが人気があります)を買ったりして準備をします。
新年には家族で新しい洋服を着て、お祝いの12日間を始めます。この期間は、まず家族の長老者を訪ね、残りの家族を訪問し、最後に友人の家を訪ねます。新年の13日目には家族で家を出て、外でピクニックをします。ノウルーズの期間には、人々は家族や友達・近所の人を訪問するのが習慣で、お互いに行ったり来たりします。
通常、ノウルーズの初日は家族で集まり、ハフト・スィーンで飾ったテーブルを囲むか、その隣に座り「春の到来のとき」まさにその瞬間を待ちます。春の到来の瞬間に家族は、みんなの幸福を祈りお祝いし、贈り物を交換し合います。その直後、まず家族のもっとも長老の人を訪れます。大抵、若者が家族の長老の家を最初に訪問し、その後長老が若者の家を訪問します。この訪問は、当然短いものとされています。そうでなければ、12日間の間に訪問すべき全員の家へ訪問が出来ないからです。
この訪問のため、人々は、十分なペーストリー、クッキー、果物、ドライフルーツ、特別なナッツと紅茶を用意しておきます。
ノウルーズを祝う人々の中には「ノウルーズの時の行いが、その年の矛先を決める」と信じている人もいます。良い年は良い春と良きノウルーズから始まるのだと。
ノウルーズは詩、文学、絵画、またほかの視覚教材のもっとも重要な資料の源だとされています。

■ ハフト・スィーン
ハフト・スィーン(7つのS)はSで始まる単語、ペルシア語で「"スィーン」といわれるものを表します。それらは:
 * サブゼ(緑の草)は再生、ヒヤシンス、美を象徴します。
 * セッケ(コイン)は、繁栄と富を象徴します。
 * センジェド(蓮の木の乾燥した実)は、愛を象徴しています。
 * シール(にんにく)は、薬を象徴しています。
 * スィーブ(りんご)は、美と健康を象徴しています。
 * ソマーグ(はぜという植物の実)は、日の出の色を象徴しています。
 * セルケ(酢)は、年(時)と忍耐力を象徴しています。

■ スィーズダ・ベダル
イランの新年(4月2日)の13日目に行われるお祝いは「スィーズダ・ベダル」と呼ばれ、ノウルーズの祝日の最後の日にあたります。12という数はイラン人にとって聖なる数字です。
イラン人は、物質界は12,000年しか続かないと信じています。そのほか、1年にある月の数は12、星座の数そしてノウルーズの祝日の期間も12という数字からなっています。古い時代には、新年の13日目は聖なる人生の1日目だと信じていました。この日に人々は、新年のために自分たちが育て始めた植物を自然にもどす習慣がありました。

それ故、スィーズダ・ベダルでは自然が重要視され、イランでは「自然の日」とも呼ばれています。また、この日は水の神が干ばつの悪から勝利を勝ち取った日とも信じられ、カーニバルなどが催され、この日をお祝いします。
この日には、古き習慣にのっとり、老若男女、特に若い女の子たちは緑の草を結びつけ繁栄を願います。