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【都市別安全情報(トラベルサポート)】- 西ヨーロッパ

フランス [ French Republic (France) ]

フランスの国旗

国別トラブル事例集

パリ 旅行トラブル関連情報

掲載日時:2001年10月15日

情報提供:JNTOパリ事務所

●「ルーブルの モナリザの前 スリも居る」
 パリ市内の観光名所は何と言ってもルーブル美術館が一番。そしてその中でも一番の人気が謎の微笑で人々を魅了するモナリザ。だからその前はいつも黒山の人だかりというわけであるが、我を忘れて肖像画に魅せられた観光客のポケットを狙うスリにとっても絶好の稼ぎ場所なのでご用心。ポケットの財布をまんまとスリ取って、にんまりと微笑むもうひとつの微笑が見られることもあるので、ご用心をお忘れなく。


●「レンタカー 運転だけは慎重に」
 観光中の日本人からの電話。レンタカーをとある駐車場に駐め、ひとまわりして戻ってきたらボディに傷が。おそらく隣に駐車していた車が出ていった際にこすっていったらしい。レンタカーを返却する際にトラブルになりはしないかと心配しての相談。

 当方もレンタカーの事情には詳しくないが、おそらくレンタカー会社は保険に入っているだろうから、仮に自己負担を求められるとしても免責額程度ではないかと説明した上で、返却の際によく相談するようにとアドバイスした。
 加えて、フランスは日本と交通ルールや交通事情が異なるので、運転にあたっては慎重を期するように助言した。


●「のんびりと 旅する人には余裕あり」
 フランスを旅行中の日本人からの電話。今朝パリからリヨンに移動、リヨンのホテルに着いてみると、確かに鞄に入れて置いた筈の旅券と航空券が見当たらないとのこと。
 航空券については当該航空会社に、旅券については領事館に相談するようにそれぞれの電話番号を教えた。さらに話を聞いてみると、朝、慌ててパリのホテルをチェックアウトしたので、その際ホテルに置き忘れてきたかも、ただし、電話番号が分からないという。受け取った領収書に電話番号が記載されているのではないかとアドバイスした。

 短い期間でいろいろ見て回ろうとすると、日程がタイトになる。そうなると出発時などが慌だしくなり注意が散漫にもなる。結果としていろいろトラブルを呼び込む事にもなりかねない。難しいことだろうが、日程にはゆとりを持って、常に身の回りを振り返るという余裕というか、軽い緊張を持続して旅をしたいものである。


●「辣腕スリ何でも開けて 財布盗る」
 当地に住む日本人がマドレーヌ広場のブランドショップに買い物にでかけた時のこと。背負っていたデイバッグが引っ張られた感じがしたので、バッグを引き寄せ振り返ったところ、二人組の男が素知らぬ顔で「パルドン」と言って追い抜いていった。
 バッグを確かめるとファスナーが下ろされ、中を探られた気配が。幸いガイドブック程度しか入っていなかったので実害はなかったものの、後味の悪い思いであった。

 そう言えば、一人は上着を腕にかけて手の動きが分からないようにしていたというが、とにかく獲物を狙うスリたちは、あの手この手で懐を探りにくるものである。
 この場合はデイバッグであったが、背負うものは両手が自由になって便利ではあるが、荷物が死角にはいってしまうのが難点である。観光名所等、スリの稼ぎ場ではデイバッグ等は体の前にまわして抱えるようにするのも一案である。


●JNT0パリ新支店長着任の感想
 パリ支店に着任して、フランスについて、悪かったことと、良かったことを一つずつ紹介してみよう。

*まず、悪かったこと
 さっそく地下鉄でスリ被害の洗礼を受けた。アラブ系の男女二人組。地下鉄の階段を上がろうとする私の前に女が立ちふさがり、布を巻いた手を差し出しお金を恵んで欲しいというしぐさ。と、男の方が横からやおら私と肩を組む。それをはねのける私。瞬間、女が私の背広の内ポケットに手を突っ込み財布をスリ取ろうとする。
 私の内ポケットはしかしボタンをかけており、中の堅い眼鏡ケースが邪魔して結果的には未遂に終わる。こちらではありふれた手口だそうだが、日本人旅行者の安全対策の責務を担う身としては大いに反省。

*次に、良かったこと
 上記のスリが未遂に終わった際、周囲に居合わせた3人のフランス人の反応である。その1人は大柄の黒人で犯人の男の襟首を掴み犯人を罵倒した。また、かなり年配のマダムはびっくりするような大声で女を罵り非難するではないか。さらに年配の紳士は私に対して「被害はないか、確認した方がよい」と促し、私が被害はゼロである旨答えると、彼等はようやく手を放し犯人を放免した。そして3人は重ねて「大丈夫か、怪我はないか」と気遣いしてくれた上、「地下鉄では日本人はとりわけ注意した方がよい」とアドバイスしてくれた。

 観光で経済が成り立っている国で、治安の悪さは困るという市民感覚からなのか、移民の悪どさにほとほと嫌気がさしているからなのか、はたまた、キリスト教に基づく友愛の精神なのか、本当のところはよく分からないものの、私としては日本と日本人に対するシンパシーからであると勝手に解釈して、この国に少しばかり親しみを感じ始めた次第である。


※本記事は「国際観光振興会 海外旅行情報」より転載致しました。