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アメリカ ワシントンD.C. / 首都DCに「PARTY ANIMALS」出没!?

掲載日時:2002年08月09日

情報提供:株式会社ヴァレンタインツアーズ

政治・歴史の背景が色濃く現れ、何かと「お堅い」イメージの残る合衆国の首都、ワシントンD.C.。

その市内のあちこちに、幾数もの「Party Animals(パーティー好き)」が現れた? と噂が立ち始めたのは今年の春頃。

ふと雑踏の中をよく見ると、何やらカラフルな「ゾウ」や「ロバ」のような動物が、通りのあちこちに点々としています。

「ゾウ」と「ロバ」と聞いて、ピンと来るか来ないかはアメリカの政治に親しんでいるかどうかが問われるところですが、英語で政党の意味を表す「Party」と人と集まって楽しむパーティーとをかけて「Party Animals」。
この語呂合わせ、実は、ワシントンの芸術色の濃い側面を人々に見てもらおうというアート・プロジェクトのタイトルなのです。

プロジェクトはDCの芸術委員会(DC Commission and Humanities)により2002年早々からはじめられており、700以上の応募の中から選ばれた200体のデザインに対し、地元や全国の各創作家達へ1000ドルの制作費が与えられました。
「ゾウ」100体、「ロバ」100体でなるこの動物たちの石やブロンズの像は、ワシントン市内中心街からVAやMDなど周辺の州との境となる場所にまで展示されています。

4月の中旬、ファースト・レディ、ローラ・ブッシュと首都DCの市長であるアンソニー・ウィリアムスによって披露され、お目見えしたゾウとロバ達は秋口のオークションが開催時まで、通りのあちこちで見かけられます。

オークション「Raucous Caucus」で売られてゆくこの動物達への代金は芸術委員会他、ワシントンD.C.のアート教育プログラムへの助金となるとのこと。

この様なアート・プロジェクトを、昨年のテロ事件以前に始めていた都市がありました。

・シカゴの「牛 --- Cows on Parade」(1999)
・カナダのトロントでは名物の「ムース --- Assorted Street Moose」(2000)
・ご近所メリーランド州ボルチモアでは「魚 --- Fish Out of Water」(2001)、等々。

それぞれ地域性を生かした想像力豊かな作品で街に華やかさを与え、各都市の都市開発や観光業にも業績を与えたと言われており、ワシントンでも更なる客足を期待しています。

ワシントンならではと言えるこのパーティー・アニマル達。
実物を見るまで待てない人は、ホームページで閲覧も可能です。

 URL http:www.partyanimalsdc.org/

但し、メディアはユニークなデザインも各政党の政策や選挙等には一切関係ないと繰り返しています。
その様なことわりの必要なデザインもあるのでしょうか!? 

ちなみに。。。
現在のブッシュ政権・共和党の象徴動物は「ゾウ」、民主党の象徴は「ロバ」とされており、今でこそ政党のキャラクターのように使われていますが、元々はこの「ゾウ」と「ロバ」、お互いの政党を風刺するのに使われた動物だったのです。

1874年にニューヨークのセントラルパークの動物園から猛獣が逃げた、という事件があり、当時の新聞ニューヨーク・ヘラルド紙に漫画家トーマス・ナストが、ライオンの毛皮を着た「ロバ」が公園で他の動物達を脅かしているという風刺画を描きました。 
逃げ惑う動物の中には「共和党投票者」と書かれた「ゾウ」が描かれていました。
ゾウは賢くて扱いやすいが、怖がると手におえないという性格を投票者に当てはめたのです。

当時の政権は共和党ユリシス・グラント大統領の手にあり、グラント大統領は先例なく3期続いて大統領になる、と言われていました。
それを「独裁君主制」であると批判した民主党側によって、共和党支持者の党に対する信頼が脅かされていると皮肉ったのです。

それをきっかけに風刺画にはよく「ゾウ」と「ロバ」が使われる様になり、今では各党の象徴動物となりました。

「ロバ」が民主党に例えられるようになった背景には7代目大統領アンドリュー・ジャクソンが1828年大統領選挙に出馬するのにスローガンにしていた「Let thepeople rule」という政策を批判する人達が、ジャクソンを「jackass(まぬけな奴)」と呼び始めたことにあるそうです。

しかし結局、ジャクソンはそれを逆手に取り「ロバ」のキャラクターを自分の宣伝用の選挙ポスターに使う等して、見事大統領に選ばれたというのですから、ものは考え様ですね。