エジプト / ダハシュール屈折ピラミッドと衛星ピラミッドの内部について
掲載日時:2019年08月09日
情報提供:エジプト日本旅行業連盟 (JTUE)
2019年7月14日、ダハシュールの屈折ピラミッド内部が54年ぶりに公開されました。
これを受け、エジプトにおいて日本人マーケットに携わる旅行関連業者からなる「エジプト日本旅行業連盟」(JTUE: Japanese Travel Union of Egypt)では、7月29日にピラミッド内部の視察を実施いたしました。
以下に、その様子をご報告いたします。
2019年7月14日、54年ぶりに屈折ピラミッドと衛星ピラミッド内部の一般公開が再開されました。
◎ 基本データ
造営者: スネフェル王(古王国時代第4王朝、BC2575〜2551頃)
高さ: 105m
底辺の長さ: 188m、
傾斜角度: 下部が54度27分44秒、上部では43度22分
◎ スネフェル王
スネフェル王はクフ王の父。メイドゥームのピラミッド、ダハシュールの屈折ピラミッドと赤いピラミッドの3基を造営したと考えられている。
階段ピラミッドから真正ピラミッド(正四角錐のピラミッド)への移行、水平の石積み構造や持ち送り構造の採用、ピラミッド本体内部に部屋を作るなど多くの革新的な試みを行った。
◎ 入場券・撮影 (2019年7月現在)
ダハシュールのエリア券で、屈折ピラミッドなどの内部も含めて見学可能。
屈折ピラミッド、衛星ピラミッド、赤ピラミッドの内部をカメラで撮影する場合は共通カメラ券(LE300)が必要。外観のみの撮影は無料。カメラ券がない場合は内部へのカメラ持ち込み禁止。
携帯電話での撮影はピラミッド内部を含め無料で可能。
◎ 見学の注意
内部の見学には45分程度必要。
壁画やピラミッド・テキスト等は無い。
ピラミッドの流れを知るうえでは非常に興味深いが、ギザのピラミッド群やダハシュールの赤いピラミッドと比べて狭い通路が多く、年配の方やあまり体力がない方にはお勧めしない。できるだけ荷物は持っていかない方がよい。
すれ違いづらい幅の通路があったり、上部玄室の見学用プラットホームがあまり広くなかったり(一度に10人程度は可)するので、大人数のグループの場合は見学順の工夫が必要。
◎ 衛星ピラミッド
サイズが小さいので、5〜10分で内部の見学可能。
通路は屈折ピラミッドに比べると広いが、比較的急なので足元に注意。
以下、写真とともにピラミッドをご紹介いたします。
A: 屈折ピラミッド
1) 外観。
北面(向かって左の面)から内部に入る。西面にも別の入口が存在する。
2) 入口までは外に設けられた階段を上がって行く。
3) 内部への通路。長さ74m。
天井までの高さはクフ王のピラミッドの上昇通路より低いように思える。
ちょうど半分くらい下ったところで通路はピラミッド内部から地下の岩盤をくりぬいたものに変わる。
4) 前室(高さ 12.6m)内に設けられた階段を上がる。
5) 下部玄室(6.3×4.96m、高さ 17m)。上部玄室に行くための階段が組まれている。
6) 下部玄室に隣接して設けられた空間。
7) ピラミッドの重量を分散させるため、持ち送り構造で作られた天井。
8) 壁のあちこちに、古代において梯子か滑車のための柱をはめ込んだらしい穴が見られる。
9) 下部玄室内の階段を上がったところ。写っているのは上部玄室につながる通路。
この通路は、ピラミッドが作られた時代より後に石を掘りぬいたもの。
かがんだ状態で上がって行くが、足元はあまり良くない。
10) 水平の通路。写真奥に上部玄室への階段がある。
写真手前側が西側の入口につながる通路。
11) 西側入口につながる通路。通常は閉鎖されているため見学はできない。
写真には写っていないが落し戸の仕掛けが作られている。
この通路を65m登ると、ピラミッド西側のかなり高い位置にある入口に至る。
現在は鉄格子がはめ込まれている。
12) 水平通路から上部玄室に上がる階段。
見学用プラットホームは玄室の床ではなく、中ほどの高さのあたりに設置されている。
13) 上部玄室は7.97×5.26m、高さ 16.5m。
床部分には古代の杉材の丸太が組まれ、玄室とその床を支えているのがわかる。
14) かなり傷んでいるが、持ち出し構造の天井。
屈折ピラミッド内部のあちこちに、この持ち出し構造が使われている。
B: 衛星ピラミッド
15) 屈折ピラミッドの南側に作られた衛星ピラミッド。
サイズは小さいものの、真正ピラミッドとして設計され、石が水平積みされた一番最初のピラミッドとして重要。
底辺53m、高さ32.5m。
16) ほぼ地面の高さにある入口。
17) 比較的急角度で地下へ延びる通路。
屈折ピラミッド内の通路より広めで距離も短いが、足元に注意が必要。
通路は降りた後で上昇に転じて、ほぼ地表の高さに作られた内部の部屋につながる。
18) 部屋の床部分は、一部掘り込んで穴が作られている。
このピラミッドは王妃のためのものではなく、儀式用に作られたと考えられている。
19) 天井は、ここでも持ち出し構造。
これが発展し、クフ王のピラミッド内部にある壮大な大回廊につながって行く。
C: その他
20) スネフェルが最後に作ったと思われる赤いピラミッド。内部の見学が可能。
21) アメンエムハト3世(中王国時代第12王朝、BC1844〜1797頃)の日乾れんがを使用したピラミッド(通称、黒いピラミッド)。現在のところは未公開。
ダハシュールにはこれ以外にも3基の小さめのピラミッドや古王国時代のマスタバ墳などがある。
22) カメラ券。絵柄はルクソールのデル・エル・メディーナの墓。
ダハシュールのピラミッド内部にこのような壁画があるわけではない。
これを受け、エジプトにおいて日本人マーケットに携わる旅行関連業者からなる「エジプト日本旅行業連盟」(JTUE: Japanese Travel Union of Egypt)では、7月29日にピラミッド内部の視察を実施いたしました。
以下に、その様子をご報告いたします。
2019年7月14日、54年ぶりに屈折ピラミッドと衛星ピラミッド内部の一般公開が再開されました。
◎ 基本データ
造営者: スネフェル王(古王国時代第4王朝、BC2575〜2551頃)
高さ: 105m
底辺の長さ: 188m、
傾斜角度: 下部が54度27分44秒、上部では43度22分
◎ スネフェル王
スネフェル王はクフ王の父。メイドゥームのピラミッド、ダハシュールの屈折ピラミッドと赤いピラミッドの3基を造営したと考えられている。
階段ピラミッドから真正ピラミッド(正四角錐のピラミッド)への移行、水平の石積み構造や持ち送り構造の採用、ピラミッド本体内部に部屋を作るなど多くの革新的な試みを行った。
◎ 入場券・撮影 (2019年7月現在)
ダハシュールのエリア券で、屈折ピラミッドなどの内部も含めて見学可能。
屈折ピラミッド、衛星ピラミッド、赤ピラミッドの内部をカメラで撮影する場合は共通カメラ券(LE300)が必要。外観のみの撮影は無料。カメラ券がない場合は内部へのカメラ持ち込み禁止。
携帯電話での撮影はピラミッド内部を含め無料で可能。
◎ 見学の注意
内部の見学には45分程度必要。
壁画やピラミッド・テキスト等は無い。
ピラミッドの流れを知るうえでは非常に興味深いが、ギザのピラミッド群やダハシュールの赤いピラミッドと比べて狭い通路が多く、年配の方やあまり体力がない方にはお勧めしない。できるだけ荷物は持っていかない方がよい。
すれ違いづらい幅の通路があったり、上部玄室の見学用プラットホームがあまり広くなかったり(一度に10人程度は可)するので、大人数のグループの場合は見学順の工夫が必要。
◎ 衛星ピラミッド
サイズが小さいので、5〜10分で内部の見学可能。
通路は屈折ピラミッドに比べると広いが、比較的急なので足元に注意。
以下、写真とともにピラミッドをご紹介いたします。
A: 屈折ピラミッド
1) 外観。
北面(向かって左の面)から内部に入る。西面にも別の入口が存在する。
2) 入口までは外に設けられた階段を上がって行く。
3) 内部への通路。長さ74m。
天井までの高さはクフ王のピラミッドの上昇通路より低いように思える。
ちょうど半分くらい下ったところで通路はピラミッド内部から地下の岩盤をくりぬいたものに変わる。
4) 前室(高さ 12.6m)内に設けられた階段を上がる。
5) 下部玄室(6.3×4.96m、高さ 17m)。上部玄室に行くための階段が組まれている。
6) 下部玄室に隣接して設けられた空間。
7) ピラミッドの重量を分散させるため、持ち送り構造で作られた天井。
8) 壁のあちこちに、古代において梯子か滑車のための柱をはめ込んだらしい穴が見られる。
9) 下部玄室内の階段を上がったところ。写っているのは上部玄室につながる通路。
この通路は、ピラミッドが作られた時代より後に石を掘りぬいたもの。
かがんだ状態で上がって行くが、足元はあまり良くない。
10) 水平の通路。写真奥に上部玄室への階段がある。
写真手前側が西側の入口につながる通路。
11) 西側入口につながる通路。通常は閉鎖されているため見学はできない。
写真には写っていないが落し戸の仕掛けが作られている。
この通路を65m登ると、ピラミッド西側のかなり高い位置にある入口に至る。
現在は鉄格子がはめ込まれている。
12) 水平通路から上部玄室に上がる階段。
見学用プラットホームは玄室の床ではなく、中ほどの高さのあたりに設置されている。
13) 上部玄室は7.97×5.26m、高さ 16.5m。
床部分には古代の杉材の丸太が組まれ、玄室とその床を支えているのがわかる。
14) かなり傷んでいるが、持ち出し構造の天井。
屈折ピラミッド内部のあちこちに、この持ち出し構造が使われている。
B: 衛星ピラミッド
15) 屈折ピラミッドの南側に作られた衛星ピラミッド。
サイズは小さいものの、真正ピラミッドとして設計され、石が水平積みされた一番最初のピラミッドとして重要。
底辺53m、高さ32.5m。
16) ほぼ地面の高さにある入口。
17) 比較的急角度で地下へ延びる通路。
屈折ピラミッド内の通路より広めで距離も短いが、足元に注意が必要。
通路は降りた後で上昇に転じて、ほぼ地表の高さに作られた内部の部屋につながる。
18) 部屋の床部分は、一部掘り込んで穴が作られている。
このピラミッドは王妃のためのものではなく、儀式用に作られたと考えられている。
19) 天井は、ここでも持ち出し構造。
これが発展し、クフ王のピラミッド内部にある壮大な大回廊につながって行く。
C: その他
20) スネフェルが最後に作ったと思われる赤いピラミッド。内部の見学が可能。
21) アメンエムハト3世(中王国時代第12王朝、BC1844〜1797頃)の日乾れんがを使用したピラミッド(通称、黒いピラミッド)。現在のところは未公開。
ダハシュールにはこれ以外にも3基の小さめのピラミッドや古王国時代のマスタバ墳などがある。
22) カメラ券。絵柄はルクソールのデル・エル・メディーナの墓。
ダハシュールのピラミッド内部にこのような壁画があるわけではない。
1)「屈折ピラミッド」外観
2)「屈折ピラミッド」入口
3) 内部への通路
4) 前室内に設けられた階段
5) 下部玄室から上部玄室に行くための階段
6) 下部玄室に隣接して設けられた空間
7) 持ち送り構造で作られた天井
8) 柱をはめ込んだらしい穴
9) 下部玄室内の階段を上がった所
10) 水平の通路
11) 西側入口につながる通路
12) 水平通路から上部玄室に上がる階段
13) 上部玄室の床部分に組まれた杉材の丸太。
14) 持ち出し構造の天井
15)「衛星ピラミッド」外観
16)「衛星ピラミッド」入口
17) 地下へ延びる通路
18) 部屋の床部分
19) 持ち出し構造の天井
20)「赤いピラミッド」外観
21)「黒いピラミッド」外観
22)「カメラ券」
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