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フランス パリ / ギメ東洋美術館内「オーディトリウム」にてプログラム「秋津島」開催 (11〜1月)

掲載日時:2008年10月31日

情報提供:社団法人 日本海外ツアーオペレーター協会

東洋美術の扱いではフランス最大の美術館「ギメ東洋美術館」内の「オーディトリウム」にて2008年11月〜2009年1月の期間、プログラム「秋津島」が開催されます。
この「秋津島」のプログラムは、日仏交流150周年を記念し、現在ギメ東洋美術館で開催されている展覧会「こんぴらさん 海の聖域展」(2008年10月15日〜12月08日)と併行して企画されたものです。

下記にプログラムの概要をご紹介いたします。
是非この機に「ギメ東洋美術館」にお越し下さい。

【 プログラム「秋津島」: 蜻蛉(とんぼ)の島 】
古代日本神話(日本書記、720年)によると、日本の最初の名前は「秋津島」(蜻蛉の島)であった。
この呼び名は、初の天皇である神武天皇に帰せられる。
彼は大和の丘の高みから国見のときに「蜻蛉のとなめせるがごとし」(交尾した蜻蛉の雌雄が互いに尾をふくみあって輪の形となって飛ぶこと)と叙した、という。
神道の篤き信仰が生まれたのは、天照大神(あまてらすおおみかみ)が創生し、八百万(やおろず)の神々が住まう、まさにこの蜻蛉の島での事であった。
日本古来のこの宗教は、六世紀に入ってすぐ中国から伝播された仏教と共存してきた。仏教は様々な宗派、とりわけ禅宗から派生する流れの中で、のちに日本独自の仏教の形をみる事になる。

この日本独自の精神性を様々な宗教儀礼、修行、巡礼、黙想の場面を描く多くのドキュメンタリーをたどりながら、又、小栗健一、アルノー・デジャルダン(Arnaud Desjardins)、 ダニエル・モロー(Daniel Moreau)、その他の監督の映像を通して探って行きたい。さらには、アイヌ民族の奇習、驚くべき「茶の精神」、熊井啓監督により映画化された「千利休」にみる利休の謎に満ちた人物像も見出して行きたい。
とりわけ並はずれて豊かな映画が発展してきたのは、西洋にとって時として惑わせる事の起こるこの国、日本においてである。
国際的な巨匠監督の幾人かを輩出してきたのもこの国である。その巨匠の一人、今村昌平は、2006年に他界した。溝口監督の後継者たる今村は、日本社会に一歩の譲歩も許さない臨床的視線を注ぎ、ブラックユーモアにつつまれた少しばかり冷笑的な態度でもって、下層階級の人々に光を当てた。
彼の九つの作品、とりわけ有名な「楢山節考」、そして驚くべきドキュメンタリー「にっぽん戦後史マダムおんぼろの生活」等の作品を上映する事で、小津監督の元助監督であり日本のヌーベルバーグを象徴する映画監督、そしてカンヌ映画祭のパルムドール金賞を2度受賞したこの今村監督にこそ、オマージュを捧げたい。

■ スペクタクル
KOMAによる日本伝統楽器の演奏、 林榮子による日本舞踊、 川邊りえこによる日本書道、千田えつこによる邦楽が披露される。

■ 今村昌平監督(1926〜2006)へのオマージュ --- 九作品上映
映画監督であり、脚本家(映画、演劇)でもあり、助監督、通訳もこなす今村昌平は、1965年に彼自身のプロダクションを創設する。
松竹に入社してすぐに「麦秋」(1951)、「お茶漬けの味」(1952)、「東京物語」(1953)等で、彼は小津監督の助監督をつとめる。その後、1954年に日活へ移籍し、そこで 川島監督の「幕末太陽伝」(1957)の脚本を書く等、数多くの脚本を手がける。

1958年には初めて三作品の監督を務め、たとえば「赤い殺意」のように下層階級の人々に光をあてた物語は、この頃から既に特に好んで手がけたテーマである。
養豚のためにアメリカ合衆国海軍の軍艦から出る残飯をめぐってのヤクザたちの抗争を描く「豚と軍艦」の様に、日本の社会的状況を彼はリアリズムをもって描写する。
1968年の「神々の深き欲望」、「人間蒸発」(1967)、「にっぽん戦後史マダムおんぼろの生活」(1970)等、歴史や実話から着想を得たもの、あるいは、戦後の歴史的背景の中にまみれ、普通の人々の引き裂かれた運命を語った「黒い雨」(1989)などを制作する。

「楢山節考」(1983)では、カンヌ映画祭「パルムドール金賞」受賞という栄誉に輝き、監督として初めての国際的評価を得る。
「うなぎ」(1997)で2度目のパルムドール金賞を受賞。フランス国内で上映された彼の最後の二作品、「カンゾ−先生」(1998)、「赤い橋の下のぬるい水」(2001年)は、自嘲、滑稽な状況、日本社会に注がれる妥協を許さない鋭く批判的なまなざし等、いわゆる「今村スタイル」を象徴する作品といえよう。
今村監督は2006年東京で歿する。


■ フランス国立ギメ東洋美術館「オーディトリウム」 (Auditorium du musee national des arts asiatiques - Guimet)
 住所: 6, place d'Iena, 75116 Paris, France
 TEL: 01−4073−8811
 〔最寄駅〕
  パリ地下鉄 9号線 Iena(イエナ駅)、6号線・9号線 Trocadero(トロカデロ駅)、6号線 Boissiere(ボワシエール駅)

★「秋津島」のプログラムは下記サイトよりダウンロードいただけます。
 URL http://www.guimet.fr/IMG/pdf/prog_auditorium2008_2009.pdf
 (PDFファイルが開きます。計64ページ)

※その他詳細は、下記美術館の公式サイトにてご確認ください。
  URL http://www.guimet.fr/ (フランス語、英語、日本語他)


※ギメ東洋美術館にて「こんぴらさん 海の聖域展−日本絵画の至宝」開催中 (10〜12月)
 http://www.otoa.com/home/news_ditail.php?serial=14691