メキシコ各地にあるファミリーレストラン・チェーンの「レストラン・サンボーンズ」の本店は別名「タイルの家」と呼ばれ、メキシコ市の中心部ソカロの近くにあります。その名が示す通り、建物一面がタイルで覆われています。
「ラテンアメリカで最も美しい建物の一つ」と言われるこの建物が、タイル貼りの現在の姿になったのは1700年代初期であり、現在まで300年近くもの間、風雨に耐え、無数の人々の往来や交通に耐えて来ました。
この「タイルの家」、外観の優雅さもさる事ながら、建物の内部は訪れる人々をバロック美の世界にいざないます。古い建造物同様、この「タイルの家」も石造りですが、訪問客に冷たい感じを与えずやさしく優美であるのは、どうやら灰色の石肌をむき出したままにしなかった事にある様です。
淡青と白色のタイルやレリーフされた木扉、壁一面に描かれた孔雀の遊ぶ宮庭園、それに石柱にまでレースの様な浮き彫りを施し、冷たさを優しさに変えているのです。
「タイルの家」の建築様式を正確に言うと、バロック後期の「チュルゲレスコ」という事になります。チュルゲレスコは一般に装飾過剰で悪趣味にさえなってしまうのですが、そうならず品よくまとまっているのは、この館の主であり再建を手懸けた伯爵夫人の趣味の良さでしょうか。時には一杯のコーヒーを楽しみながら、つかの間のひと時、伯爵夫人の気分になるのも悪くはありません。
「タイルの家」は、まさにメキシコが誇る文化遺産です。それにもかかわらず、日本の迎賓館の様に特別な階級のためだけの建物にならずに、誰もが気軽に入れる「レストラン・サンボーンズ」になっているのは、不思議な事ではないでしょうか。
この謎は300年以上続いた伯爵家の歴史と、アメリカ人サンボーン兄弟との関係を知る事で解ける様です。
尚、この館に初めて訪れた日本人は、伊達藩の支倉常長であったと聞きます。
その2につづく。どうぞお楽しみに!!
(この記事は、メキシコ国立自治大学 田中都紀代様よりご寄稿いただきました)
「ラテンアメリカで最も美しい建物の一つ」と言われるこの建物が、タイル貼りの現在の姿になったのは1700年代初期であり、現在まで300年近くもの間、風雨に耐え、無数の人々の往来や交通に耐えて来ました。
この「タイルの家」、外観の優雅さもさる事ながら、建物の内部は訪れる人々をバロック美の世界にいざないます。古い建造物同様、この「タイルの家」も石造りですが、訪問客に冷たい感じを与えずやさしく優美であるのは、どうやら灰色の石肌をむき出したままにしなかった事にある様です。
淡青と白色のタイルやレリーフされた木扉、壁一面に描かれた孔雀の遊ぶ宮庭園、それに石柱にまでレースの様な浮き彫りを施し、冷たさを優しさに変えているのです。
「タイルの家」の建築様式を正確に言うと、バロック後期の「チュルゲレスコ」という事になります。チュルゲレスコは一般に装飾過剰で悪趣味にさえなってしまうのですが、そうならず品よくまとまっているのは、この館の主であり再建を手懸けた伯爵夫人の趣味の良さでしょうか。時には一杯のコーヒーを楽しみながら、つかの間のひと時、伯爵夫人の気分になるのも悪くはありません。
「タイルの家」は、まさにメキシコが誇る文化遺産です。それにもかかわらず、日本の迎賓館の様に特別な階級のためだけの建物にならずに、誰もが気軽に入れる「レストラン・サンボーンズ」になっているのは、不思議な事ではないでしょうか。
この謎は300年以上続いた伯爵家の歴史と、アメリカ人サンボーン兄弟との関係を知る事で解ける様です。
尚、この館に初めて訪れた日本人は、伊達藩の支倉常長であったと聞きます。
その2につづく。どうぞお楽しみに!!
(この記事は、メキシコ国立自治大学 田中都紀代様よりご寄稿いただきました)
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