第８回は・・・世界遺産とは直接関係ないですが、９月のメキシコ独立記念日の様子ををお伝えします。
世界遺産に指定されているメキシコシティ歴史地区やグアナファト州のドローレス・イダルゴ村等で盛大に行われます。

◆メキシコ合衆国独立記念日
毎年９月１５日夜から翌日１６日にかけて
＊通常１５日は夜から町が賑やかになり、イベントが行なわれます。
しかし１５日は法定休日ではなく、翌１６日が祝日となります。

◆独立記念日の歴史：
１５２１年、スペイン人たちの侵略により当時メキシコシティを中心に王国を築き上げたアステカ文明は滅ぼされます。
その後スペイン人はここメキシコ（当時はヌエバ・エスパーニャ/新しいスペイン）を植民地政策の拠点とし、更なる植民地と奴隷確保のため南下し、侵略を進めます。
略奪と支配を繰り返し、徹底した植民地政策を元に、広大な植民地と財を築き、当時のスペインを「ヨーロッパの星」と呼ばれるくらいにまで潤したといわれています。
その後独立までの約３００年間、植民地政策が続きますが、次第にスペイン本国人とメキシコ生まれのスペイン人の間に富や権力の差が生じ、メキシコ生まれのスペイン人たちが不満を持ち始めます。
そこで、絶対数の少ないメキシコ生まれのスペイン人達は当時人口が一番多かったメスティーソと呼ばれる混血児たちを扇動し独立戦争の準備を始めます。
大きなきっかけとなったのはドローレス・イダルゴという神父で、後に「独立の父」と呼ばれることになる小さな教会の神父でした。
イダルゴ神父が荘園（アシエンダ）主に搾取されていた農民たちに武器をあたえ、各地で一揆的な暴動を行いました。
やがてイダルゴ神父は当時のヌエバエスパーニャ拠点、現在のメキシコシティー、ソカロ広場に到着、宮殿にある金を打ち鳴らし独立宣言を行なった、それが９月１５日夜２３：００頃だったそうです。

◆独立記念日の催し：
独立記念日は各地で行なわれます。
大小さまざまですが２週間前ほどからメキシコシティではレフォルマ通りなどメインストリートとソカロ広場周辺を多くのイルミネーションで飾ります。
そしてソカロ広場では屋台なども設置され、日本の縁日に近い雰囲気となります。
独立記念日は家族と過ごす人もいれば、友達同士でソカロ広場へ行ったりレストランで独立を祝ったりと様々です。

９月１５日は多くの会社は半休（午後休）となります。
交通機関も通常のように運行されなくなります。

町の中心となるソカロ広場（このソカロと呼ばれる広場はメキシコシティ以外にも存在する広場で植民地政策の一つとして必ず町の中心に築かれている）に人が集まり、そこでグリト（雄たけび）を行ないます。
メキシコシティを例にあげると、例年ソカロ広場に約３万人くらい集まります。
歴代の大統領はソカロ広場国立宮殿にある鐘を９月１５日２３：００に打ち鳴らし「VIVA MEXICO（メキシコ万歳）」、「VIVA LA LIBERTAD（自由万歳）」と叫びソカロ広場に集まった国民と共に独立記念日を祝います。
その熱気と興奮は独立を喜ぶメキシコ人たちの「愛国心」と表しているともいいます。
大統領は任期中、６回の独立記念日があり、基本的には毎回メキシコシティのソカロ広場で大統領が鐘を打ち鳴らしますが、任期最後の年は独立発祥の地と呼ばれるドローレス・イダルゴ村にいきそこで鐘を打ち鳴らす習慣もあるそうです。
この記念日の様子は、TVで中継されます。

余談ですが歴代の大統領はこのグリト（雄たけび）にどれほど感情がこもっているか、どれだけ国民の感情を揺さぶるか？で国民は「あの大統領の声はいまいちだった」などと酷評をするのも習慣になっております。

グリトが終わると花火が打ちあがり、ソカロ広場ではマリアッチのコンサートなどイベントが行なわれます。
しかし夜通しではないので、夜中１２時ごろには解散してしまいます。
その後は自宅で家族や友人と独立を祝います。

１６日は午前中ソカロ広場とレフォルマ通りを中心に軍事行進が行なわれます。
戦争放棄を憲法にうたっているメキシコには持っている武器も戦闘機も決して新しいものではないのですが、それを国民に見せるのは「我々は戦争をしない！
しかしひとたび侵略がなされば、国を守るため武器を持って戦う準備はある」という意思表示だといわれています。
軍隊も通常の軍事行進と異なり、独立戦争時代の兵士が見につけていた軍服や革命戦争時代の軍服に身を包んだ兵隊が現れ、時代や地方、民族によってそこ服装が異なるのを見ることができます。
昔は空港を閉鎖して飛行演習を行なわれましたが現在は中止されています。
また各企業が独立したイベントやパレードを企画しますが、これは毎年異なるのではっきりしたことはいえません。


以上、期間中に滞在を予定されている方はご注意下さい。