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フィジー [ Republic of Fiji ]

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フィジー / フィジーの情勢について (続報3)

掲載日時:2006年12月04日

情報提供:株式会社ユー・ティ・アイ・ジャパン

先般よりお伝えいたしておりますフィジー政府と軍部の対立等による情勢に関する最新情報を、下記にお知らせ申し上げます。
(前回の情報からの変更点は、青色字にて表示しております)

フィジーでは昨年以来、2000年に発生したクーデターの事後処理に関して政府と軍部の方針・見解の相違により、特にクーデターに関与した者に対する恩赦等について規定する和解統一法案をめぐり、これに反対する国軍側と政府との間でしばしば緊張が高まっておりました。

2006年11月21日、国軍のフランク・バイニマラマ総司令官は「軍が提案した要求事項を2週間以内に政府が呑まなければ、クリーンアップキャンペーン(内容は未公表)を実施する」旨を発言いたしました。これに対しライセニア・ガラセ首相は、国軍側の要求の違法性を唱える声明を発表しており、政府が同要求の全てを受け入れる可能性は極めて低いものとみられています。
又、警察による国軍司令官の違法行為に対する捜査が進む中、現在私用でニュージーランドを訪問中のバイニマラマ国軍総司令官が、アンドリュー・ヒューズ警視総監に対し退去を勧告する脅しめいたコメントをする等、そして国軍側の要求の期限となる12月初旬にかけて、情勢が再び緊張が高まってきているとされております。
これを深刻にとらえた近隣のオーストラリアとニュージーランド政府は、自国民に対し過敏すぎるともとれる警告を発令、日本の外務省も11月27日にスポット情報を発出いたしました。

11月28日、ライセニア・ガラセ首相は、ニュージーランド空軍機により同国の首都ウェリントンへ発ち、29日、同国のヘレン・クラーク首相及びウィンストン・ピーターズ外相立ち会いの下、2時間ほどにわたってバイニマラマ国軍総司令官との会談を行いました。これはニュージーランドのクラーク首相の発起によるものとされており、両者が直接会談するのは久しぶりの事でした。
ガラセ首相、バイニマラマ総司令官はそれぞれ29日夜に帰国、会談の詳細は明らかにされておりませんが、ガラセ首相のコメントによりますと「良い話が出来た」との事で、両者ともそれぞれに同日晩に帰国しております。

一方、11月29日午後、国軍は、同日深夜から翌日午前3時にかけて、スバ市内及び郊外において演習(外国からの介入への予防、警戒を目的としたもの)を実施する旨を発表いたしました。同演習に対し国軍側は「危険を感じる必要はない」としておりましたが、多数の兵士が完全武装で演習する事が予想されるため、フィジーの日本大使館より情報を受けた日本国外務省は、不測の事故が発生する可能性もあるとし、危険情報を発出しました。
首都スバ市及びその近郊についてのみ、以前から一般的な治安の悪化により「十分注意して下さい」(第一段階)が継続して発出されておりましたが、今回の危険情報では首都圏(スバ市、ラミ町及びナウソリ町)が「渡航の是非を検討して下さい」(第二段階)に引き上げられ、その他の地域には新たに「十分注意して下さい」(第一段階)が発出されました。
国軍の演習は実際に行われましたが見回り程度のものであり、トラブル等も一切発生なかったとの事です。

しかしながら11月30日晩になり、バイニマラマ総司令官は「ウェリントン(NZ)での会談は全く無意味なものであり、私は何も合意していない。」と主張、12月01日の正午までに政府側が軍部の要求を全て受け入れなければ、「平和的政権移譲」を行うと発表しました。
この「平和的政権移譲」の詳細については不明ですが、本日正午までの政府側の対応に注目が集まっております。尚、バイニマラマ総司令官は「フィジー国民及び旅行者は我々が保護するので、何ら心配する事はない。」としています。

これを受けて、日本の外務省は危険情報を引き上げ、首都圏(スバ市、ラミ町及びナウソリ町)に「渡航の延期を検討して下さい」(第三段階)、それ以外の地区に「渡航の是非を検討して下さい」(第二段階)を発出いたしました。
但し、在フィジー日本大使館によりますと、本日の動向次第で情勢が安定化すれば、数日のうちに引き下げられる事もありうるとの事です。

12月01日正午、国軍側が政府に与えた要求受け入れ期限が過ぎ、バイニマラマ国軍総司令官は「期限の延期は行っておらず、政府からの回答がなかったという事は、クリーンアップ・キャンぺーンを実施するしかない」としておりましたが、同日午前中、チョセファ・イロイロ大統領との「実のある」会談を行った同司令官は、午後から軍隊チーム対警察チームのラグビーの試合の観戦に出掛けており(結果は警察チームの勝利)、その後週明けの現在(12月04日正午過ぎ)まで、特に何も動きはありません。政府側は明日12月05日に閣議を開催し、軍部のかたくなな要求について再度話し合いを行うとの事です。

その様な中、フィジーの現状は極めて平穏であり、行政機関を始め商店、銀行、ホテルやツアー等の営業・催行も全て平常通りに行われております事をお知らせいたします。
尚、状況を鑑みますと、念のため首都 スバへの訪問はお勧めいたしませんが、フィジーの玄関口であるナンディや、コーラルコースト、ママヌザ諸島等、多くの旅行者が訪問・滞在する地区は、政府や軍部の拠点があるスバから100〜200km以上の距離がある事から、万一の有事の際にも直接的な危険がおよぶ可能性は、過去の例から見てもほとんどないものと思われます。


又、新しい情報が入りましたらお知らせいたします。